Welcome to 「TaLE logue 」
ども、管理人のクロクマです。
オリジナルの小説などを挙げていく予定。よろしく
お願いします。
横の付箋をクリックしてお進みください。
・参加しているサイト様
その中を見てみると
「クソッ、駄目だったか」
黒い球体はまだそこに存在していた。
このターンでまたAB復活させられると厄介だな、と六割ほどのHPとこのターンでずいぶん消費したMPに頭を巡らせたその時、バキッッと球体の隅に罅が入った、これは、と思い立ち止まって見ていると、バキ、ビキと次々に崩壊していく。そしてその崩れた隙間から光が漏れだしている。
ついにその内側の光に耐えきれなくなったかのように黒い球体――The Pride本体は崩れ落ち、辺りに光があふれだした。
そしてその中から飛び出した光の球は、するすると部屋の壁の方にあった十字架へと近づいていく。
ついに光が十字架の先端に触れると、カッと部屋全体が光り、また元の明るさに戻る。
と、どこか最大公約数的な慈悲深い顔をした爺さんが両手を広げて立っていた。
その爺さんが何か俺に話しかけてくるが、どうせ「汝は七つの罪に打ち勝ち・・・」みたいなつまらん話なので、指を振って全部スキップする。
満足そうな微笑みで光に包まれながら爺さんは消え去っていき、その足元にドロップ品が入っていると思われる袋が落ちた。
さぁ念願の新「杖刀」とのご対面だと期待しながら袋を開けるが、見たところ価値のある鉱石やらなんかの原石と思われるものしかない。ウインドウにスクロールして格納し、品名を追ってみるがやはり杖刀はないみたいだ。と――
今まで完全に意識の外にあった十字架にきらきらとした粒子が集まっていく。
もしかしたらさっきから集まっていたのかもしれないが、とにかくどんどん十字架が光に包まれて――
「おぉ、これが」
さっきまで石の十字架が立っていたところに真白い十字型の杖刀が刺さっていた。
風の噂でも十字架が刀に変わるなんていう凝った演出は聞かなかったので、もしかしたら運のいいことにレアドロップ品かもしれない。否が応にもアレへの期待が高まる。
こういうのが取り合いにならない、ってところでは一人もいいかもしれないなぁ、とか思いつつ、杖刀を抜く。
抜いている最中、以外と手ごたえがあって驚いたが、きらきらと先刻の光の粒子が舞っていたので、これも演出の一環なのだろう。
一目見て、なかなかいい刀だと分かる。
この世界では一定ランク以上の通称「業物」だと、モンスタードロップならその拾い主、プレイヤーメイドならその作成者に名前――その武器の「銘」をつける権利が与えられる。
まぁそれはそれで面倒だし、かつその武器の名前が今後の強化チャートの乱数にもかかわってきたりするのでなかなか蔑にできない。
ま、それは置いておき、この刀を見ても「銘」が表示されないということは、少なくともランクは「業物」以上ということになる。
さて、ここからが一番大切な所だ。
これがレア物だとしたら、やはりアレの確立も高いのだろうか。
・・・いやでもそんなに都合よく出るわけないよなー。でも確か出た、みたいなことを言っていた人もいたような・・・。
そろそろと注意深く鞘から刀を抜いていく。どうだ・・・?――