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王国物語


 はじまり、はじまり : 001 002 003 004 005 006 007 008 009





















  001



「硲(はざま)に生まれし対の翼・・・」
ここまで口にして、後は目の前に光る文字が刻むに任せておく。本業の魔道師――というか両刀していない職業――は指を動かし、文字を綴るだけで済むから、魔法を唱えるたび、軽い気恥しさに襲われることはないんだよなぁ、などと考えているうちに左手の鞘の先に灯が点る。これで、さっきから狙っていたAは落とせるはず。
「磊落緋燕(らいらくひえん)ッ」
自分のターンが始まったと同時にかけだし、唱える。この辺の感覚はもう体にしみ込んでいる。
鞘の先から飛び出した燕のシルエットが火の線を引きながらAに殺到し、爆発した。その衝撃に耐えきれなかったようにAはぼろぼろと崩れていく。
これで反撃も耐えられる程度になった――と考えながら簡単な魔法を呟き、一気に「The Pride」本体に走る。
想像通りBが弓の形をとり、黒い矢を打って反撃してくるが、今の一瞬で左の鞘に反撃の杖術スキル「咬刃返(こうじんがえし)」を仕込んでおいたので、一撃、二撃と相手の攻撃をパリィして打ち返してくれる。

そして一気に本体に迫り、さっき「くらやみ」を照らす明かり代わりに宿しておいた最下位魔法「紅点(こうてん)」をオマケに、逆手刀スキルの四連撃刺突技「花信風烈(かしんふうれつ)」を叩き込む。
敵の形が形なので揺らいだりすることはないが、これで相手の反撃は潰せた。技後の硬直を先延ばしにして三連続斬撃技「扇(せん)昂(こう)」を繋ぎに、五連撃斬撃技「太刀颪(たちおろし)」きれいに入れる。
その硬直をやり過ごし、「時計」に目をやる。と三分の二を切っていたのでとっとと自分の持ち場に戻り、体制を整える。うまい事、刀に「陽輪(ようりん)」、鞘に「咬刃返」を宿したところで相手のターンへと移る。


そもそも『一人限定』七連戦クエスト「―原罪―」の最後の相手がそんなに理不尽に強い訳がないのだ。
まず戦闘が始まった途端「the Eclipse」で俺を――というかステージ自体を「くらやみ」にされたのは困ったが、実はコレ何らかの魔法を使うか溜めておくかで一時的に解消できる。
その後「Darker than Darkness」で分身ABを造り、「noThing」で武器の形をとり攻撃するか「nOne」で人の形をとり魔法で攻撃、もしくは回復。ABのどちらかが倒されてしばらく経つとまた「Darker than Darkness」で復活という単純なパターンだ。
それ以外の時は黒い球体に戻り、攻撃された時に状態異常を起こす霧などで反撃をしてくる。

だが、そこまで強くないといってもやはりダメージは受けるから回復しなければならないし、視界を作るために魔法を使わなくてはならない。さらにA、Bにはよく効くが、本体にはほとんど魔法ダメージが通らないと来ている。

今まで出てきた「原罪」たちも、状態異常を多用してきたり魔法の障壁を張ってきたりとやはり近接魔法、両方使えないと苦労するのが多かった

「ホントずいぶん阿漕な『救済』だよな・・・」

呟きながら相手の攻撃に構える。

そもそもの条件として「一人」が設定されていて、その上実質魔法と剣が使えなければならないということは、今まで絶賛不人気だった「赤魔道師」を引っ張りだすしかない。
このクエストでしか手に入らない素材の価格もかなり高騰しているし、何よりドロップで何種類かから一つ、かなりマシな「杖刀(じょうとう)」がもらえるらしい。

でもそれは倒してからのお楽しみと気持ちを引き締め、槍に変化してきた相手の刺突をステップでかわしていく。



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