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王国物語


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  002



――ガガン、と相手が打ち出してきた黒い帯が自分の周りで箱を作っていく。
横目で表示を見ると「Black ROOM」という技らしい。魔法で反撃するべきか剣でするべきか・・・とりあえずこういうのはスピードが大事だ、ということで単発刺突技「茅花流(つばなながし)」で脱出を試みる。「部屋」の壁にぶち当たって刀の勢いも鈍るが、どうにか力で押し切る。真黒い壁を突き破り、「くらやみ」の中へと戻る。と一気に今までいた「部屋」が一気に縮まり、その範囲から逃げ切れていなかった左足が巻き込まれた。ガクン、と一気に七割あったHPが四割あたりのところまで減少し、これをモロに食らってたら、と背筋が冷える。しかし相手もやはり大技だったらしく、追撃はしてこない。


――「これで、終わりだッ」
危険を冒しつつ相手のターンに溜めていた広域魔法「朱紗煉幕(しゅされんまく)」を撃ち、本体とBを燃え盛る赤い天幕に閉じ込める。
予想通り、炎の幕が開くと今まで倒さないよう気をつけてきたBが跡形もなく消えている。
これで、このターンが終わるまでは相手は完璧に無防備になった。

もちろん次のターンをかけて本体はAとBを復活させてくるだろうが、長年の勘がそろそろ幕引きだと俺に教えてくれている。
今まで使ってこなかった新しい技を使ってきた点でHPはもうの折少ないとみていいだろう。

相手に近づきながら口の端で呪文を唱え、鞘に近距離魔法「破厳一衝(はがんいっしょう)」を宿らせておく。

こんな時くらいしか使い道ないんだよなぁ、と内心ボヤきつつも、右手の刀で覚えている最大のスキル、八連撃「玉響颯(たまゆらはやて)」の一撃目の突進で一気に間合いを詰め、刺突と斬撃を繰り出す。
これは刀スキルのほかにも 風魔法をある程度マスターしなくちゃ使えないほぼ赤魔道師専用みたいな技だ。しかも実質使えるのはその中でもわざわざ「刀」を「逆手」で持っている俺みたいな変わり種専門の。
こういうのがあるから赤魔道師はやめられないな、と自分を慰めつつ、風の力を借りた七撃目を放つ。とその瞬間自分の体は一気に相手の背後まで翻り、とどめの突きを放った。七撃目の後わざと隙を作って相手の攻撃を誘い、その瞬間相手の背後に回るという便利な技だが、いかんせん燃費が悪い。
人型とかの敵のAIをだますのには重宝するが、やはり不定型な相手だとどうも意味が薄い気がする。ここで鞘を突き出しさっきの「破厳一衝」の特大衝撃波を見舞い、反動で吹っ飛び相手との距離を稼ぐ。
これだけ攻撃を入れても相手はうぞうぞと動いて復活のための準備をしているようで、少なくともこのターンの反撃は完全になさそうだ。

ならば、と硬直時間を詠唱に費やしてやり過ごすことにする。

ちらと「時計」を見るともう半分を切っている。安全をとるならここらで手堅く小技を入れて下がり、反撃を整えておくべきだが、今回は勘に従って一気に畳みかける

この世界の鉄則で、続けて同じ技を入れると若干威力がさがる、というのがあるので本来ならもう一度「破厳一衝」を使いたいところだが、仕方なく「鬼哭驟襲(きこくしゅうしゅう)」を唱える。
さっきのよりは威力は高いが、その分レベルも高いのでまだ詠唱短縮が出来ていない。

さぁここでとちったら一巻の終わりだぞ、と冷や汗をかきつつも――どうにか完成。

がこれをかわされても困るので念には念を入れて間合いを詰め「旋昂」を放ち様子を窺う。

相手の気配も大丈夫、時計の残りもあと僅か、相手の体力は――ええいままよ

「お返しだ・・・天地乱れて天魔哂う――鬼哭驟襲(きこくしゅうしゅう)」

左手の鞘の石突をガンッ、と地面にたたきつける。すると周りの「くらやみ」よりもっと暗い闇が地面から湧き出て相手を取り囲む。
そして凄まじい叫び声――といっても許容値限界付近程度だが――と共に相手を押しつぶすように縮まっていく。
グオオォォォォォォ・・・・
「時計」を見ながらじりじりと後退していく。
バチン、と闇の多面体が弾け、ばらばらと崩れ去っていく。



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